
repose
走って、焦って、走っての毎日に、少しのreposer=お休みを。 丁寧にコーヒーを淹れて、好きな写真集を開く。 かのMan Rayが「写真を撮るのに必要なのは、カメラと写真家と、そして何よりも被写体である」と言った。どれも大切な要素。とても感銘を受ける言葉だ。 この写真集は19世紀末のフランスの風景を映し出したFélix Thiollierの写真集。 Man Rayの言葉が染み入る。 私は大学時代、写真を専攻していてその時にこの写真集に出会い、大事にしている。 「時を切り取る」ということの魅惑と、それから神秘と、大袈裟かもしれないけれど責任みたいなものに引き込まれた写真集だ。デジカメ、携帯カメラでは撮り得ない世界を、3次元として感じられる。息をひそめたくなるほどに。 開くたびに、生き返る。開くたびに自分が自分に戻るような感覚。

夏の景色
子どもがいるということのありがたみを感じている。 今の私ははるか何十年前に父母のもとに生まれて、現在に続くのだけれど、ある日姉が、「この私たちの起源が遥か遥か祖母のお腹の卵として存在していたのだよ。」とさらり教えてもらった言葉が 耳に残っている。 私は母のお腹に宿る前から存在していたってこと?理系ではない私には少し難しい数字はわからないけれど、そんな私にとって夢のある話だった。運命とか天命とかいう言葉は苦手だけれど、遠い時代の旅を想う。今の時代にはありえないようなdéjà-vuのような景色も、本当に遥か遠い時代の景色かもしれないと思い、それなら夢がある。 この夏の景色は、この先に続く誰かの未来の景色になるかもしれないのだと思うとまた夢がある。それなら今しか味わえない景色をたくさん見ていたい。 子どもが私を誘う。幼い頃に夢を感じたたくさんの景色に。 父が海に誘ってくれ、あさりの採り方を教えてくれたこと。 線香花火を楽しんだこと。しゃぼんだまを川原で吹いたこと。 夏の風景をたくさん感じて、秋の景色へと進む。