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fondations-礎-


ずっと小さな頃から、父も母も古いものが好きで、家には古いものがあった。それを大切に直して使っていた。父は、器用な人で、なんでも自分で作るし、台所のものも、研いだり削ったり、差し替えたり、そんなことが当たり前の家庭でした。新しい電気製品なんてない、アナログな家庭で、話たちたちが巣立っても未だにそんな生活が続いています。私は覚えているエピソードとしては、私が大事にしていたおもちゃが壊れてしまい、悲しくて悲しくて泣きじゃくっていると、父が「かしてみな。」と言ってものの5分でささっと直してくれたことだ。ゴツくて分厚い父の手が魔法のように動き、元どおりに綺麗にしてくれた。私は、嬉しくて、その時のことをいまでも鮮明に覚えている。私の礎は、そんな小さな頃の、ありがたい環境にあり、それはいまでも大切にしています。ひょんなことで、思いもよらないことがあっても、また元に戻ればいいし、少しずつ自分で、また1からやり直せばいい。私は焦ったり、戸惑う性格なので、いつもそう言い聞かせているのも、そんな小さな頃に家族が教えてくれた大切な「教え」と思っています。

割ってしまったり、欠けてしまった大切な器を直すようになったのも、自分と向き合う大切な静かな時間だと思っています。器を直すのは時間がかかり、そのへしなさや手間を考えると、理解できない人もいるかもしれませんが、私にはその過程も愛しい。

繕い治った時、違った器の表情を見て、さらに愛おしくもなります。そして、また食べることを楽しみたくなる。料理したり菓子を作りたくなる。

幼い頃直してくれた、おもちゃはまだどこかにあるはず。あの時の気持ちに似ているかもしれない。


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